研磨&簡単塗装




研磨

板のはみ出した部分がなければ、目地払いの必要はありません。
MDFのように板の表面が均一な素材は、表面の研磨も必要ありません。
ただ、木口が荒れている場合は、紙やすりでならします。
ボンドのはみ出しがあれば取り除き、その付近を紙やすりでならします。


MDF素材の塗装

ここでは塗装の専門的な話はしません。
誰でも簡単に一定以上の仕上がりが期待でき、
しかも屋内で作業する方法を紹介します。

使用する塗料は水性です。
油性は臭いがきつくて屋内で使うのは危険です。

塗装には様々な方法がありますが、
一番簡単で仕上げも綺麗な方法といえば、
スプレー缶での吹付かと思います。
しかし、塗料の飛散を考えると、屋内での作業には向きませんし、
屋外であっても、相応の広さが必要になります。
また、風が強くホコリが舞う状況下では、
たとえ天気が良い日であっても避けねばなりません。

そこで、仕上げは吹き付けに及ばないまでも、
そこそこ見れる塗装方法を以下にご紹介します。

研磨の工程も省いていますので、基本的には
”塗るだけ”の、仕上げ方法です。

*塗装に適した服装や、塗料の飛散に対する
周辺のマスキングは必要です。



トリマー加工
*マスク着用*

はみ出した板の部分があれば、削り取ります(目地払い)。
トリマーを使うのが一般的ですが、ない場合はカンナの刃を裏返しに使って、地道に削る方法もありますが、事前に刃を整えることが必要です。

コーナーの加工にも使います。

研磨作業
*マスク着用*

板の表面が荒れていたり、汚れている場合は、紙やすりで研磨します。
表面を整えるだけですので、#400を使います。(場合によっては#40〜#240も使います)
サンダーがあれば楽ですが、無ければ適当な大きさの平の板に紙やすりを巻き付けて使用します。

バッフル面は平面性を保たなければならないので、#400以外は使わないほうが無難です。



ステイン

ワシン 水性オイルステイン オールナットを使います。

濃い色なので、はみ出したボンドが板に浸みてコーティングされた部分も、5〜6回の重ね塗りで目立たなくなります。


ニス

ワシン 水性ウレタンニス つや消しクリヤーを使います。

つや有の”透明クリヤー”は難しいので使いません。


刷毛とローラーと段ボール板を用意して
ステインを塗る


*塗料の飛散が気になる場合は、かならず新聞紙などで回りを覆ってください。
*スピーカーの下には緩衝材に使われる薄手のシートを敷いています。

刷毛は、できるだけ品質の良い物を選びます。安物は毛抜けが多くて使えません。

スポンジのローラーは、刷毛で塗った直後の塗料を均等にする為に使います。

新品のスポンジは、ローラーを転がした時に発生する気泡が大きいので、予め水洗いして、手で握って水を切り乾燥させておきます。この際、決して布で水分を取り除いてはいけません。ローラーに細かな繊維が付着し、それが塗装面に移行してしまいます。

また刷毛で塗った塗料が多すぎる場合も、気泡が大きくなりますので、その際は、ローラーに付着した塗料を段ボール上で転がして水分を減らしてから、再度使います。
塗料はどんどん乾きますので、モタモタせず、素早い判断と動きが必要です。

使い終わったローラーは、すぐに水洗いして手で絞り乾燥させます。
ローラーは完全に乾かないと使えませんので、3個くらいあると便利です。

刷毛は容器にそのままつけておき、容器ごとビニール袋で包んで乾燥を防ぎます。
塗料の乾燥が進むと色が濃くなりますが、ニスのように粘りは強くなりませんので、通常はそのまま使えます(刷毛は塗装完了後に水洗いします)。

塗装の順番は適当でもいいのですがが、私は底から初めて最後に天板〜バッフルの順で行います。 一面塗り終えたら、塗料が垂れないと判断した時点で、塗装面を垂直に立てて、次の面の塗装に移ります。

刷毛を地面と平行に動かして塗る方法では、6面体の場合、一度の塗装工程で2面塗ることになります。その2面を垂直に立てて乾燥を待ちます。
垂直に立てることで、落ちてくる埃の付着が少しは防げます。塗装の一番の敵はホコリです。

乾燥時間は夏場は30〜60分。冬場は60分以上は必要ですが、状況に合わせて判断します。

動画の5:13あたりに、塗装面をアップで映していますが、側板と背面の板の境目に白い筋が見えるでしょうか?これはボンドのシミです。5〜6回の重ね塗りでボンド染みも隠せます。また、板の表面と木口との色の差も気にならないレベルになります。

動画の最後の方でローラーをカタカタと軽く振っていますが、これはローラーの軸に入り込んだ水を出すために必ず行います。

*動画は一連の流れそのままではなく、編集しています


*乾燥させて撮影*
塗装1回目終了

1回塗ると、こんな感じになります。




*乾燥&フラッシュ撮影*
ステイン重ね塗り

塗り重ねる毎に、塗料の染み込みが浅くなるので、量に注意しながら、4〜8回繰り返します。
4回くらいの重ね塗りですと、木口と表面の色の差がまだあるので、ツートン調の仕上げも可能です。



ステインは原則使い切る

ボトルから容器に移したステインは、使い切るまで重ね塗りをします(もったいないので)。ただ、各面の塗装回数は揃えたほうが色の濃さは合わせやすいです。
もう重ね塗りは十分と感じ、ステインも少なくなったら、このままの状態の容器にニスを入れます。左の写真の残量であれば、ステインとニスが混ざっても問題ありません。(大量に混ぜるのは避けた方が無難)







ニス塗り

原液のままでは粘りが強いので、ほんの少し水を加えます。粘度の調整が肝ですが、言葉では伝え辛く、「チョッと塗りにくいかなぁ〜」位がよいです。

基本的な塗り方はステインと同じですが、乾きが早いのでスピーディ&適格に行います。

ニスの乾燥時間は、気温や湿度にもよるのですが、私の場合は90分以上としています。

ニス塗装は2度塗りで完成です。

注意することは、最後の面の塗装で、ニスが余りそうな場合でも、必要以上に多く塗らないことです。

写真は一通りの塗装工程が終わり、一晩寝かせた物を屋外で撮影しました。

目止めと研磨を省いた簡単塗装ですので塗装面はツルツルではありませんが、そこそこ見れる仕上げになりました。

写真では判りにくいのですが、実物はもう少し板の境目が見えます。

ニス塗装を施した筐体に、端子盤やフレームが平なユニットを取り付ける際、必ず固着防止フィルムを挟みます。

フィルムの材料は、クリアファイルが適していますので、カッター等で適切な形に切り使用します。



最後に

今回はMDF素材に限定した、
”目止めなし””研磨なし””色調合なし”の
初級編ともいえる塗装方法を紹介しました。

組み立て時にはみ出たボンドは、拭き取れば一見目立ちませんが、
水性の着色料を塗れば、一発で露見しますので、
今回はこの点を考慮して、塗料を選んでいます。

素材や仕上げの違いで塗装方法も変わりますが、
綺麗な仕上げの基本となるのは、
例えば、ボンドの量にまで気を配って、丁寧に組み上げられた
綺麗な筐体があってこそと言えます。

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